[コメント] シカゴ(2002/米)
おお!ボブ・フォッシーが生きていてくれたら・・・
アメリカはやはりミュージカル映画に弱い。これでアカデミー賞というのはいかにも・・・であるが、でもやはりスター社会とそれにまつわる裏の世界などは見ていてワクワクする。今回マーシャル初演出ということもあるが、それなりには頑張っていた。しかし、しかしである。やはりフォッシーのあの演出、あのドラマ、あのドロドロ感はなかった。もっともっとと思いたかった。あの『キャバレー』あの『レニーブルース』あの『オール・ザット・ジャズ』のあの素晴らしい美術、そして転落、苦悩、そういったものがこの『シカゴ』という映画では他人事のように描かれていて少し寂しい。現場ではなく誰かほかの人のものを借りてきて作っちゃった、というイメージ。これがこの映画の少し寂しいところ。
思い出すのは『オール・ザット・ジャズ』だろう。カンヌで『影武者』と同時にグランプリを受賞したあの素晴らしい芸術作品。覚えているのは、当時この主役にはロイ・シャイダーではなくリチャード・ドレイファスが予定されていたらしい。そう、この二人はあのスピルバーグの『ジョーズ』で共演した仲である。ドレイファスがいちはやく『グッバイガール』でオスカーを手にしたが、その後その重圧に負けてなかなか役がまわってこなくなった。その役を勝ち取ったのがシャイダーであった。
この関係がこの映画の逆鏡になっていると思う。お互いの関係、光と影、そして一度ライトを浴びたら逃れることのできないこの麻薬のような社会。これは正にフォッシーのものだ。
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