世界的なプロジェクトだというのに、全体的にのんびりしたカントリームービーの様相。クライマックスはさすがに緊張感がある。強風のなか、巨大アンテナが倒壊する危険を冒してまで中継作業を続行するか否か、といったあたりだ。ところがこの映画の場合、そんな重大な決断と施設スタッフのウブな青年が好きな女の子をデートに誘うまでの決断とを同等に扱い描いている。「時にはリスクを背負う必要がある」っていうのはたしかに両方に当てはまりはするけどさ！このちょっとおかしなバランス感覚に、この映画のおもしろさが端的に現れている。

また実話に頼らない「笑い」がふんだんにちりばめられ、コメディとしての創意工夫がなされているあたりも好感が持てる。アンテナ施設を守る警備員が暗闇の物音に「だれだ！？」と警告したら「メエ〜」と羊が返すシーンなど、クスッと笑えるツボが目白押し。

そして最後はアポロ１１号の月面着陸の成功と共に、町の人々と共にしみじみとした感慨が胸にわき起こり、なんともほのぼのした幸せな気分にひたれた。