[コメント] インソムニア(2002/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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白夜とはドーマーの当初の理想の象徴ではないかと思った。
過去のドーマーは比較的単純に善/悪の二分論者であったと思われる。つまり「明るいこと=善」で「暗いこと=悪」として職務を邁進していたのだろう。
だが彼は皮肉にもその理想(白夜)によって自己を崩壊させられる(=不眠症&葛藤)。
果ての地に来てからというもの‐つまりこの映画だ‐彼の理想と現実としての自分の乖離は明らかに広がっている。理想があるからこそ(そしてそれに囚われるからこそ)葛藤する。悪徳刑事ではないのだ。良かれと思って行ったはずの証拠捏造もあってダブルパンチである。夜なのに明るい、という白夜の特徴はそっくりそのままドーマーのアンヴィヴァレントな《善/悪の混交体》という内面と当てはまる。彼が当初昼と夜の判断に戸惑ったように、彼の内部でもまた同様に善/悪の概念が混乱状態にあるのだ。
とまあ白夜を重ね合わせて考えるとしたらこんなものだろうか。強引かもしれないがこんな特殊な設定には何らかの意図があるのだろう。普通に面白かった。ロビン・ウィリアムズがなかなか出てこないのが良い。
蛇足1→アル・パチーノの演技は見事。しかし彼の視点に立つことは出来なかった。観ている自分にもその朦朧感を味わわせる類のものではなかった。
蛇足2→今夏ぶらりと夕張に行ってきたのだが、そこの雰囲気にとても似ていた。
蛇足3→タイトル「Insomnia」を並べ替えると「minanosi=皆の死」。そっかあ〜。パチーノもウィリアムスも死んじゃうもんね〜。ってあんまり意味ないしどこに力入れてるんだオレ。
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