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[コメント] 活きる(1994/香港=中国)

チャン・イーモウ監督の作品ににしては珍しくストーリーがコメディタッチで2時間半近くはある映画だがそこそこ見やすかった。
わっこ

**ネタバレ注意**
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激動の時代の中国を必死に生きるある一家の姿を描いた映画。

予告編やタイトルからは想像がつかないストーリー展開で少し意外性に驚かされた。

予告編なんかで見る限り最初はチャン・イーモウ監督らしい重みのある話で大河ドラマのような映画かと思ったが実際は激動の時代を生きる家族の明るい姿が描かれていて演出もどこかコメディっぽい。特に最初の30分あまりとその後の話はかなりのギャップを感じた。

話としてはコメディとして描いてはいるが娘のお産の時の両親が慌てぶりが本当にありそうでどこか現実的な展開でリアリティがあり、なおかつ、コメディシーンの見せ方も上手い。

特にフークイ役グー・ヨウとイアチェン役コン・リーは本当に夫婦のように見えるぐらい演技が上手い。2人とも序盤と中盤ではイメージにかなりの差があり同じ人物とは思えないぐらいのキャラの変わりようですごいと思った。特にグー・ヨウの演じたフークイは最初に見た感じではギャンブル好きのどうしようもないダメな男だったのに中盤以降は親父臭い演技が見事にはまり、イアチェンとの夫婦漫才並の素晴らしい掛け合いをしていて1人二役をしているみたいな演技をしていた。コメディ演技も上手く、正直かなり意外だった。

また普段、映画ではどこか傲慢そうな女性役が多かったコン・リーは今回珍しく明るい感じのおばちゃん臭い演技でグー・ヨウとの掛け合いも自然で非常に上手い。正直、彼女の演技にしては珍しいコメディ演技が見られたのは非常によかった。上映時間が長い映画だがコン・リーのファンでも楽しめる。

映画としては2時間以上はある長い映画だが割と見やすくそれほど長さは感じなかった。

ただ映画として見ると、今一つ感動作には繋がらなかった印象。特に激動の時代を生きる家族の映画なのに感動的な場面が少なく、映画としては妙にコメディシーンが際立ってしまい感動要素が薄くなってしまった。

家族死ぬシーンにしても感動的な演出がなくどこか映像だけ撮って演出はほったらかしという気がしなくもない。特にフォンシアがマントウを出産した後で急変してしまうシーンのシリアスドラマとコメディドラマの演出のバランスの悪さはすごく気になった。

映画としては大河ドラマのような話なので、もともとここまでコメディシーンを作らなくてもいいとは思うが、かといってコメディシーンでの微妙な現実感のある演出も捨てがたいので監督にはもっとバランスのとれた演出をして欲しかった。

少なくとも『踊る大走査線』の時の本広監督にはこの映画の演出を見らなって欲しかった気がする。 映画としてはストーリーでの消化不良を役者の上手い演技で補った感じ。

(評価:★3)

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