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[コメント] クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦(2002/日)

子供向けアニメとしてではなく時代劇アクション映画として観て、この作品はなかなか楽しめる作品だった。
わっこ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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TVアニメ『クレヨンしんちゃん』の劇場版第10弾。

今回はしんのすけが戦国時代にタイムスリップしてしまう展開で同系種の話だと同アニメの劇場版第3弾の『雲黒斎の野望』があるが、こちらは純粋に時代劇が主体のストーリーとなっている。ストーリーの方向性はどことなくサム・ライミ監督の『キャプテン・スーパーマーケット』に近い。

映画としては、戦国時代にタイムスリップしたしんのすけと廉姫や又兵衛との会話で現代の変貌に廉姫や又兵衛がジェネレーションギャップを感じる部分がしっかりと描かれており、ストーリーも春日の国と敵国との戦いがメインとなっていて、子供向けアニメの劇場版ながら、殺伐として非常に重みがあり、なかなか面白い。特に身分の違いを超えた恋愛というのは、現代では障害はあっても比較的簡単に乗り越えられるが、戦国時代の姫君と一侍という身分の差では恋に進展があっても、結ばれるということは難しいことなのだなとつくづく考えさせられた。その辺、しんのすけに廉姫が現代の恋愛はどうなのか聞いたり、しんのすけに廉姫を好きだとということを又兵衛が指摘されてうろたえるところあたりでしっかり伝わっているところがよかった。

キャラ設定も又兵衛が武士道に精通していながら、情に厚く、人殺しを好まずに、それでいて強くて、非常にかっこいい。正直しんのすけよりも彼のキャラだけで映画のよさを引き出していたような気がしてならない。また終盤で、野原一家が正義感に駆られ、自家用車で敵陣を突破し又兵衛率いる春日軍をサポートするところもなかなか面白かった。

ただ、子供向けの長編アニメ映画としてはシナリオがあまりにもシビアすぎる展開で、いつもの『クレヨンしんちゃん』のシリーズにある純粋に笑えるシーンの連続を期待する人にはいささか消化不良な作品かもしれない。それとラストは無理に悲劇にせずとも、廉姫と又兵衛が結ばれる展開でハッピーエンドに終わらせればよかったのではないのかという感じ。少なくとも、廉姫と又兵衛の身分の壁を超えた恋の進展が描かれているのだから、そのまま二人が結ばれる展開を描いて、現代の解釈に影響を受けた新しい恋愛パターンの時代劇を描いて欲しかった。

後、ひろしたちは現代から戦国時代でも使えそうな道具を色々持ってきているのだから、できれば終盤の決戦は現代の道具を駆使して様々な戦法を描いてロングバトルを展開させて欲しかったところ。その辺『キャプテン・スーパーマーケット』を見習って欲しかった。

総評としては子供向けアニメとして観ずに、時代劇アクション映画として観てこの作品はなかなかよく出来た面白い作品であった。

(評価:★4)

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