[コメント] 息子の部屋(2001/仏=伊)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
まずあの家族の健全さが気になった。父親もきちんと子供の世話をするし、子供もたいしてひねくれたところもない(まあ息子はその前兆、少しのギクシャクしたとこは感じたけど)夫婦も、エロい(と思った)セックスするぐらい仲が良い。娘とボーイフレンドの関係に立ち入らないし、むしろ一緒に楽しもうとさえする(これは日本とイタリアの違い?それとも自分イメージとの違いかな)。息子の万引き事件のエピソードも、これじゃあまりに健全すぎると思ったから入れた、というのも理由のひとつにあるんではないだろうか、、と思ったぐらい。それにちょっと新鮮さみたいのを覚えた自分は病んでるんだろうか。そしてそれがあった分、あの精神科医の父親のところにくる人たちがよけい際立ったようにもまた思えた。
後はラスト。感情的になる家族とは対照的に、そっけない息子の彼女。そして彼女には既に彼氏もいた。現実は、家族の悲しみに関係なく、進んでいく。彼らの悲しみが癒える速度と、現実の速度は異なるのだ。時間が止まったかのように見える彼らを容赦なくおいていくそれは、とても冷たいようにも思えるけど、その時間の誤差は同時に、彼らに現実を受け入れるきっかけを与えてくれるのでもあると思う。最後、あのバスの横を歩く姿は、徐々にだけど、あの家族の止まった時間が動き出したかのように見えた。
たぶん、おそろしく普通のひとたちの普通の反応を描いた退屈な映画なんだけど(だから)とにかく素晴らしかった。少しだけど元気をもらえた、ありがとう。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (2 人) | [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。