子供は、「努力は報われる」なんてテーマには何も感じないのではないか。そんなものが描かれているとしたら、それはジュブナイルではない。疲れた大人のための哀れな回復装置、或いは自分への復讐を果たすための自虐的強心剤、もしくは単なるナルシズムだ。

（そもそも、大人のあなた。今まで生きてきて、「努力は報われる」と思いましたか？それが真実だと本気で思ってますか？…そのテーマを敢えてはずしたことに、私は原作者及びこの映画の製作者側の「こだわり」を見た気がします。）

「自分は実は、生まれついての大魔法使いだった！」…この、生クリームたっぷりの、特大イチゴショート的魅力といったら！

本作こそ、本物の「子供向け」なのではないか。

（『千と千尋』、DVDが出たら、今度は酔っ払って観てみよう。何か分かるかも知れない。）