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[コメント] ムーラン・ルージュ(2001/豪=米)

ポピュラリティの獲得に走ることで失ったのが“リアリティ”だとして、執拗なまでにケバケバしい濃密映像はそれを補って余りある。とりあえずヒットおめでとう。
G31

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







とはいえこんなケバい映像はホントは要らないのだ。

恋愛物語では、なぜか知らないけど、女がプライドを捨てる事になる。だから男には、それを受けとめるだけの包容力というか、度量がなければいけない。したがって、個人的には“年下の男”と“年上の女”という設定より、“年上の男”と“年下の女”の方が圧倒的に好き。(同い年はまた別)

この作品、ムーラン・ルージュの高級娼婦にして大看板・サティーンと、新進若手劇作家・クリスチャンの間柄は、年齢は明かにされないけれど、ニコール・キッドマンとマクレガーの実年齢と同じで、サティーンが上、クリスチャンが下であろう。恋情に溺れるサティーンがプライドを取り戻せば、映画としてはいわゆるアンハッピー・エンド、恋情に身を任せる選択をすればハッピー・エンドになるわけだが、前者であれば恋愛よりも大切なものを描いた事になり、後者であれば恋愛の最も甘い蜜の部分を描いたことになる。そのどちらもこの世にはある。したがって、ここまで高らかに恋愛讃歌を掲げてくれればどちらの結末でも構わないのではあるが、好みで言うと前者のが好き。と言うより、『誘う女』以来の大ニコール・ファンとしては、新進若手作家如きに一瞬胸のときめきを覚えたからといって、受ける筋合いもない侮辱を受けてそのままにしておくなんて、許容の限度を超えている。

もう一点。映画作りとしては、類稀な美貌を持つ女優を選ぶか、美貌は多少犠牲にしても歌唱力抜群の女優を選ぶかの選択肢なので、仕方のないところではある。ニコールは世界に唯一の存在だ。代役などありえない。

だがユアン・マクレガーは、充分ハンサムだけど、どの道ニコールの美貌に対抗しうるほどにはハンサムではないわけで、だったらもっと歌唱力のある俳優を起用した上で、ニコールの足りない部分を補うか、ニコールのレベルに合わせてやる事が出来ればよかったのに。

その点、公爵さん(リチャード・ロクスバーグ)はおっしゃるとおり曲者だったと思う。Like A Virginを歌うシーンでちょっと聞いただけだが、歌もなかなか上手かった(だからこそ脇固めに起用されたのだろう)。物語の設定から変わってしまうだろうが、彼をニコールの相手役にしたら、どうだったか。とも思ったがやっぱそれも駄目。今のニコール、上にも下にも“力”の及ぶ今のニコールに、私が許せるラブ・ストーリーの唯一の設定は、マクレガー如き公爵如き両方ひっくるめて手玉に取る類のものしかない。サラ・ベルナールがどんな女優だったのか知らないが、写真で見るかぎり、彼女の時代に映画があってそれに彼女が出演していたとして、とても人の話題に上るような方であったとは思えない。映画に出ないとしたらなおさらだ。21世紀の女優として、とっくにニコールはサラ・ベルナールのレベルを超えている。もしバズ・ラーマンが少しでもニコールの美貌を信頼しているというなら、でもってシェイクスピアが好きだと言うなら、次作では彼女に『ハムレット』のハムレットを演らせてほしい(自分でも何言ってるかわからん)。

こういうのを多分、ひいきの引き倒しと言う。

85/100(02/06/26記)

◇ん?なんか二人の歌、絶賛スね。だった? エンドクレジット見てたらvoice double てのあったよ・・・?

(評価:★4)

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