[コメント] ザ・コンテンダー(2000/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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●今アメリカ映画(特にハリウッド映画)ではポリティカル・コレクトネス(PC)が鼻につくことがある。この『ザ・コンテンダー』などそのいい例。病死した副大統領候補として、大統領はある女性議員を指名するが、かつての彼女の政敵であり男性優位主義的な考えの議員(ゲイリー・オールドマン怪演)が彼女の学生時代のセックススキャンダルを見つけだし、聴聞会で彼女を責め立てる。女性議員はスキャンダルが事実なのかどうか一切黙秘を貫くが、彼女は現在の夫と不倫関係の末に結婚したことまで聴聞会で暴かれ、さらに窮地に陥ってしまう。
●大統領が「女性」を副大統領に指名しようとしたり、彼女が黙秘の態度をとり続けた理由、そして最後に大統領が大演説をぶつのも、映画を作る側のPCが手にとるように解る。しかも、大統領が聴聞会に出向いて大演説をぶち、聴衆の割れんばかりの大拍手というのがいかにも権威的…と言うか、アメリカの父が有無を言わせぬ正論で家族を説得みたいな印象を与えてしまう。
●そして大統領が女性議員に不倫が本当だったのかと執務室で聞いたシーンだが、現夫は当時別の女性と結婚していたが、彼女自身は独身だったので「不倫」をしていたのは彼女ではなく現夫の方だ、彼女は不倫してなかったと執務室の全員納得し安堵する所が非常に詭弁くさく、アメリカの(日本も?)政治家の「スキャンダル」の定義にも驚かされる。そういうところ全て含めて、いかにもアメリカ的だなぁと思えた映画だった。ある意味、とてもいやらしいけれど、アメリカ式なところを臆面もなく肯定しているところに感心さえしてしまった。
ポリティカル・コレクトネス(PC=「政治的公正さ」 ネットで検索をかけると、どのようなことかを解説したサイトが沢山あります。簡単に言うと、民族・宗教・文化・性差・障害の有無・肉体的特徴などでの差別を無くすべきだという考え方。言葉がこの考えのもとに変えられることがあり、「議長」を表していたchairmanをchairpersonと表現したりするのもこの考え方に基づいている) (2001年6月24日)
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