[コメント] 箱根山(1962/日)
続いて、箱根のバス路線、二つのバス会社の観光開発についての説明となる。ナレーターは奇声の中島そのみ。実は何の予備知識もなく見たので、西武と小田急(東急)の箱根山戦争を描いた映画だとばっかり思ったが、この冒頭部分は、お話の背景にはあるけれど、ほとんどメインのプロットには絡まない、という人を食った出だしだ。しかし、恐ろしく力のある始まり方ではある。
さて、お話は箱根芦刈温泉(芦之湯温泉がモデル)で対抗する二つの老舗旅館の群像劇。加山雄三と星由里子がそれぞれの跡取りで、軽い「ロミオとジュリエット」モチーフの設定。旅館の主は、それぞれ東山千栄子と佐野周二。東山側の大番頭・藤原釜足がいい味を出す。さらに、こゝに開発会社の社長、東野英治郎がからむのだが、本作の東野も絶好調。笑い方がいい!
時代的な特徴でもある、屋内の複数人物を被写界深度の深い縦構図で見せる画面が多いのだが、芦ノ湖夏祭りへ向かうバスのシーンで、窓外から、手前に星由里子、奥に加山をパンフォーカスで撮ったショットが印象に残る。星の横顔のショットをちょっとドキドキするくらい長めに残して情感を創出する。あと、ラストの山上の星由里子を、空撮に繋ぐ処理にも度肝を抜かれる。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (0 人) | 投票はまだありません |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。