[コメント] イマジン ジョン・レノン(1988/米)
イマジンという歌は国家や国境や宗教や財産権を歌詞の中で否定しているので、ある種の急進的な考え方と取られがちだ。でも、これは表現者たるレノンの”言い切り”で、別にこの急進的な事をすぐ実現すれば世の中が良くなるとは彼も思ってない。いっぽう国境管理を細かく語る歌なんてあってもくだらない。事実映画内で彼は思い入れが強いファンに対して曲と現実を混同するなと述べている。(レノンはガンジーを安易に肯定するなど、政治に関しての見立てでおかしい部分は相当ある。ベトナム戦争だって共産主義の国で大量に餓死や虐殺が起こった事を念頭におけば、70年代でも単純に反戦と言い切れるものでは無い。)
この”言い切り”は表現者だったらどのジャンルでも存在する。小説家でも芸術家でもお笑いでも漫画家でもアニメ監督でも同じこと。ただ、それはそのまま政治声明として受け取れるようなものでは無く、言い切りの型を自分で受け止めてどう解釈するかが客には求められている。だから、イマジンは問い”想像せよ”であり、あの歌詞で良い。
逆に21世紀に政治家が70年代のレノンの言葉をそのままお気楽に引用してしまう事は問題。
そこらへんは表現のことわりで”言い切り”だと説明しなかった連中が悪い。音楽評論界隈はその筆頭。情緒の垂れ流しで楽理も表現者の”ことわり”も判らない連中が評論をやってる事のツケ。今、それを払っている。
現在、アメリカで一番現実政治と表現のすり合せが上手いと言われてるミュージシャンがRun The Jewelsのキラー・マイクだ。英国の公共放送、Channel 4のインタビュー(Youtubeにある)は面白かった。こういった人を今取り上げれば良いんだけど。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (0 人) | 投票はまだありません |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。