[コメント] 激怒(1936/米)
フリッツ・ラングの渡米第一作は、まだ遠慮している、ということはないのだろうが、ハリウッドの映画作りの様子をうかがっているように見える、少々ぎこちない作品だ。
冒頭のスペンサー・トレイシーのコート(ポケットのピーナッツや破れた部分の繕い等)だとか、トレイシーの言い間違いの癖といった、伏線の扱いは、いかにも頭でっかちな印象を与える。エンディングもラングの意に沿わない蛇足だったのかも知れないが、映画らしさ、というのは現実に照らし合わせて出鱈目である、ということでもあるので、そういう意味では、ラストカットこそ、映画らしさと云えるかもしれない。ただし、あくまでもラングの意図とは違う、という認識は必要だろう。或いは、映画中映画である、ニュース・リールに関して、現実にはありえない、きちんとした人物の切り返しの演出が行われている、なんてところも、唖然とする映画らしさだろう。
あと、大好きなウォルター・ブレナンが脇役で出ているのだが、その登場シーンは、不穏な空気が醸し出されておりとてもいい。なのに、以降、普通に保安官助手として描かれ、イマイチ面白くない。法廷シーンに彼が出て来ないのも不満。
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