[コメント] 不安は魂を食いつくす(1974/独)
「国家と民族」、未だ解決の兆しさえ見せぬ「移民問題」を扱う痛烈な社会性が、像も時間も与えらぬ”空白の慰安旅行”を中軸に、「男と女」に纏わるより普遍的で通俗な恋愛悲劇へと”反転”される、
その手際は如何にも鮮やかで、なるほど俺も脳内の膝を打ったのだが、それにも増してこの俺を、心の底から驚嘆せしめたのは、前者が後者に”魂”を、後者が前者に”肉体”を、互いに付与し無限に昂め合っているという、動かしい難い事実である。
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