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[コメント] ロイドの二挺拳銃(1918/米)

このナンセンスさ、理屈の無さは大好き。開巻はピアノを弾く手。そのアイリス・インでロイドの登場。これが変な弾き方だ。西部の酒場。右へゆっくりパンして酒場の全景を見せる。
ゑぎ

 何やらお金を集めている女の子は17歳のビービー・ダニエルズ。髭のでかい男−ウィリアム・ブレイズデルが入って来る。こゝで、ビービーのアップが挿入されるのは切り返しっぽい。ブレイズデルはロイドに銃を向けホールドアップさせ、尻ポケットから札を盗ってビービーに渡す。カウンターには保安官。手紙を見る。手配書か。こゝで、バーテンのスナブ・ポラードが登場し、保安官のバッジを磨いて鏡にする。髪を整えたり。これ面白い。同時に悪漢ブレイズデルが、保安官の持っているのは自分の手配写真と知り、ロイドの写真に入れ替える。こゝまでがお膳立て。ロイドは皆から(保安官からも)怖がられ、西部一のタフガイのふりをし始める。

 道。二挺どころか三挺さして現れるロイド。タイトルから予想していた画面を軽く超えて来るのが愉快だ(原題も「二挺拳銃のガッシー」。ガッシーはロイドの役名)。さらに、懐からも小さな銃を一挺取り出すというギャグ。もっと云えば、ガンベルトの付け方もデタラメで可笑しい。この出オチみたいな場面が一番笑った部分かも知れない。皆の前で道に転がる缶を撃って、命中させたように見せるが、実は黒人の子供が紐で操っている。

 もう一度酒場。ロイドが銃をぶっ放す演出は、硝煙がいい効果を発揮する。当然ながら、悪漢のブレイズデルだけ、怖がらない。ロイドの拳銃を奪って壊したりする。終盤の混沌の現出は、カウンターの端と端での銃撃戦だが、銃弾はことごとく尻にあたって誰も怪我したりはしない。なぜか、ロイドとブレイズデルの対決が、ロイドとバーテンのスナブの対決にすり替わり、ロイドの銃撃でスナブの服が脱げて裸になるという意味不明のオチ。ヒロインのビービーは冒頭の出番から以降全く登場しないが、ラストだけとってつけたように出現し、ロイドに絡む。このビービーの扱いは物足りないとも思うが、ラストに至って、作品全体のナンセンスを強調して見せてくれた、という感覚も持つ。

#監督はハロルド・ロイドではなく、アルフレッド・J・ゴールディングという人だと思われる(IMDbや、米国サイト版ウィキペディアによると)。

(評価:★3)

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