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[コメント] ダンサー・イン・ザ・ダーク(2000/英=独=米=オランダ=デンマーク)

映画としての完成度と、心に訴えるか作品かどうかは、微妙に違うんだっていうことを知りました。
Myurakz

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







映画としての完成度はと聞かれたら、まぁ高い方だと思う。何よりミュージカルシーンの躍動感は秀逸だし、それを引き立たせる意味での手ブレのカメラワークも役割を果たしている。おおまかに見れば、ラストも筋は通っている。監督が目指した方向の映画を作るためには、確かにセルマは死なねばならなかったのかも知れない。盲目の人の盲目的な愛を描くためには、セルマは死を選ばなくてはならなかったんでしょう。

ただし、その監督の目指した方向、僕は大嫌いです。多くの人が書かれている「エゴ」。エゴイスティックな愛情なんて、人に見せつけるようなもんじゃない。息子にとって何がベストかも見極められない主人公の問題点。それは表面的に出てくる「無知さ」ではなく、それ以前の「人生のスタンス」の問題だと思っています。

しかもこの監督、その方向を見据えたあまり、ラストに向かって整合性も社会性も、そして観客すらも放置して走り出してしまいます。監督が盲目的になってどうするか。

結果観賞後に残るのはやるせなさと不快感。冒頭に書いた通り、映画としての完成度はそこそこあるので、こういう作品があっても全く構わないとは思うのですが、独善的とも言える人々を描いた作品に僕は魅力を感じません。

(評価:★2)

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