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[コメント] 軽蔑(1963/仏)

芸術家には敵わない。(05・6・29)
山本美容室

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 「バザンによれば、映画とは欲望が作る世界の視覚化である。『軽蔑』はその映画である」と思わせ振りなナレーションからミシェル・ピコリブリジット・バルドーのピロー・トークが始まる。バルドーはうつ伏せではあるが全裸である。

 なるほど「欲望が作る世界の視覚化」とは上手い事を言うなぁ、と感心してしまうぐらいバルドーの裸体が見られるのが『軽蔑』という映画の楽しみ方ではある。この映画は「映画についての映画」である。

 「映画とは欲望が作る世界の視覚化」というナレーションのあとキャメラは、観客に向けられる。この作品は「観客の欲望を映像化した映画」という事も出来るかも知れない。トリュフォーは『アメリカの夜』という映画の中で「パメラを紹介します」という架空の作品を撮っていた。

 ゴダールフリッツ・ラングという巨匠を出演させて「オデュッセイア」の映画を撮らせようと試みている。そのような映画的構造も魅力だ。ミシェル・ピコリバルドーの些細なすれ違いから「軽蔑」という感情への変化がジョルジュ・ドルリューの絶望的に美しく痛ましい音楽に乗せて描かれている。

 画面の鮮やかなテクニカラー。『ハタリ!』『サイコ』のポスターなどの小道具。『気狂いピエロ』以前こんな素晴らしい作品を撮っていたゴダール。ラストの海の焼付くような青さが忘れられない。最高だ。

(評価:★5)

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