[コメント] クジョー(1983/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
本作には、二組の夫婦が出てくる。どちらも家庭内問題を抱えているようである。一方の主人公夫妻では、妻が夫に内緒で不倫する。そしてもう一方のクジョーの飼い主夫妻では、どうやら妻は夫のDVに悩まされているようである。そして不倫妻の夫もDV夫の妻も心に傷を負い、家を出る。
狂犬と化したクジョーは、その家庭内問題の張本人を裁くかのようである。まずは、DV夫をDVにより殺傷する。次に不倫妻に対しては車内で襲い掛かる。不倫妻が襲われる姿は、あたかもレイプ、いや獣姦されているようである。しかも息子の目の前で、である。これら両者に対して目には目を、歯には歯を、という具合に刑を執行していく。彼は、言うならば、家庭内問題代理報復執行犬である。
そして本作は、そうした家庭内問題に加え、再生をテーマとして包含する。 クジョー夫妻は家庭が崩壊する。逃げるように出ていった妻と息子、狂犬化したクジョー、そのクジョーに殺されたDV夫、とクジョーの家族は離別する。 それに比して主人公夫妻は、まず、人妻は、浮気妻から貞節な婦人へと再生する。 そして、仮死状態にあった息子は、母親の手により再生する。 そして、母親は、その場に駆け付けた父親に、あたかも二人目の子供を出産したかのように差し出す。再び父親、母親、わが子の3人が集い、家族が再生する。家庭が崩壊し,廃墟と化した家を舞台に崩壊しかけの家族の再生が築きあがる、というところが興味深い。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (0 人) | 投票はまだありません |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。