[コメント] 家族の肖像(1974/仏=伊)
無礼と奔放は若さの象徴。老教授が彼等を受容してしまうのは、若さへの憧憬からか。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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他人に迷惑をかけることも、他人から迷惑をかけられることも避け、ひっそりと隠遁生活を静かに送る老教授。なのに、あんな迷惑千万な闖入者たちを受け入れるようになってしまうのは何故か。
美しいコンラッドへの恋心、それはそれとして。”若さ”の特権たる”無礼さ”や”奔放さ”に、まぶしいまでのエネルギーを感じ憧憬を抱いた、という見方をしても面白いかな、と思った。
今ではすっかり何の騒音も立てない静かな生活に浸かっている老教授にも、若かりし日々には情熱に導かれるままに人生をさまよっていた体験があるのではないだろうか。短く織り込まれている妻の回想シーンからも、そのようなイメージが生まれてくる。闖入者たちの自由な姿にかつての自分を懐かしく重ね合わせ、思わず歩み寄ってしまったのではないか。
終盤、政治思想的対立といった構図が持ち込まれたのには、個人的には違和感があった。”愛の泥仕合”みたいな方向に展開した方がしっくり来たかも。
それにしても教授の住まいの美術装飾は素晴らしい。それだけでも十分魅力的。
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