[コメント] 家族の肖像(1974/仏=伊)
映画を見終った人むけのレビューです。
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『ベニスに死す』の美少年から、『ルードウィヒ』では美青年。そしてついに美老人まで?というくらいバート・ランカスターがいいです。
コンラッドが現れた瞬間のシーンで教授が一目惚れして、「モーツアルトはいい」でメロメロになってしまいます。これ以降の教授は、もう無様なくらい恥ずかしいのですが、前2作のように”これでもか”というまで責められることはありません。
母親ドミニク・サンダ(他のどんな出演作よりも美しいです。)も超自我としての出現というよりも、全てを許しているかのようです。そんな理想を押し付けてしまったのか妻クラウディア・カルディナーレを傷つけたことで、もう家族を持たずに静かな孤独を選んだともとれます。
そんな教授でもコンラッドの出現がきっかけで、予期せぬ乱入者達を家族として受け入れようとします。今度は不愉快な人物達だとしても、ありのままを。それは言い訳や誤魔化しかもしれないけど、教授としては精一杯の挑戦ではなかったでしょうか?たとえ教授の錯覚にしか過ぎず、敗北に終わったとしても・・。もうここでは『山猫』のように華麗な幕引きは用意されません。でもラスト、デカダンスのカタルシスは完成の域に達します。ビスコンティ本人は否定していますが。(アイロニカルなコメディー映画? また自伝的だという指摘も完全に否定しています。)
でも、こうした解釈の遊びは別にしても十分に豊かで贅沢な気分に浸らせてくれる映画でした。(未熟なので、それが何故かは分かりませんが。)
ビアンカ(シルバーナ・マンガーノ)の役は最初オードリー・ヘップバーンにオファーされたそうですが、若いツバメを飼う有閑マダムの役では、議論の余地なく断られたそうです。
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