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[コメント] 盲獣(1969/日)

触覚美の極致という話は乱歩の賜物だが、原作にとらわれずアイディアだけをイマジネーションで膨らませて映画化したその力量は評価されるべきだ。
モモ★ラッチ

乱歩原作の持つ変態性を男の執念と女の性(さが)、さらに主人公をマザコンに設定したことで、そこから一人の男をめぐる女同士の意地の張り合いという側面も持たせ、乱歩原作による別の映像作品として昇華させたのだ。これは純粋に増村保造監督の力量であろう。

天地茂による明智シリーズは別格として、映像化された乱歩ものの中で数少ない成功例となったのは、乱歩原作から距離を置きつつ、上記で示したように、ある別の方向性を見出せたからなのだ。

乱歩の名前だけを拝借した中身がスカスカな作品に何度だまされた続けたことか。

だから、悲しいことだが、乱歩の正しい楽しみ方、それは原作を読んでイマジネーションを膨らませることなのである。

だが、悲しいかな、乱歩フリークとしては、“乱歩”の肩書きがついてしまうと、それだけで見てしまい、また失望してしまう。ヲタとはそういうもんだ。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)くたー[*] sawa:38[*] 若尾好き[*]

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