私はアメリカの野球映画が大好きだ。それは、アメリカ人の情熱が野球と言うスポーツににじみ出ているからだろう。この映画でも、さり気ない観客席や、美しい芝が敷きつめられたフィールド、そびえ立つスコアボード等が、まるで表情を持っているかのように実に丁寧に撮られている。アメリカ人にとっての野球とは、単なる娯楽ではなく、生活に根付いた文化なのだ。

　彼らは球場のことを、よくボールパークと言う。この言葉は、まさしく野球の本質を捉えている。球場は、プレイする選手から、チームスタッフ、球場を運営する人、結果を伝える報道関係者、そして観客に至るまで、全ての人が楽しみを享受できる公園なのだ。小さな子供から老人まで、球場は人を選ばない。

　そんなことを思いながらこの映画を観ていると、私は、まるで野球の魔法に包まれているかのような気分になった。ふと気がつけば、映画館は球場に、客席は満員のスタンドになっていた。