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[コメント] コルチャック先生(1990/ポーランド=独)

カティンの森』に勝るとも劣らぬ強烈なラスト。受難/情熱の瞬間を捉えてまさしくパッション。『オアシス』は明らかに本作の影響下にある。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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モノクロの画面が美しい。記録映像とシンクロさせる狙いも込みなのだろうが、流石に昔取った杵柄、鮮やかなものだ。

母親を亡くした少年が乱暴をはたらく。逃げながら年長者のラブレターを読みながら逃げ回るこのシーンのアクションが素晴らしい。そして彼がコルチャック先生に告白する件で、彼の頭に天使の輪がかかる。サイレント期の宗教映画を想起させる峻厳さと、児童映画特有のユーモアがある。子役たちの上手さも拍手もの。

ラストシーンのパッションはもう言葉が見つけられない。本作、先生は苦労のし通しだが、子供たちは明るい。明るさを留めつつ映画は終わる。頭を垂れるのが正しい応対なのか判らないが、もうそうするしかないのだ。

ワイダは撮るべき主題を撮り続けて老境に至った。ライバルであったクロサワの残念ながら迷走する晩年と比べてしまうのだが、あのハードな人生だからこそ、彼は映像作家として輝き続けたのだ。幸福とか不幸とかいう杓子定規を超えた、運命に囚われた作家の豊穣な成果に、やはり頭を垂れるしかない。

(評価:★5)

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