[コメント] ブコバルに手紙は届かない(1994/米=伊=ユーゴスラビア)
ユーゴ内戦の悲劇を真正面から描いた力作。『アンダーグラウンド』などでユーゴ内戦に興味を持った方、必見。同じ女優さん(ミリャナ・ヤコビッチ)が出てる・・・・・。
杜甫「春望」に「国破れて山河あり・・・・・・家書万金にあたる」とあるとおり、家族の消息を伝える「手紙」の重要さは、洋の東西を問わず、時代を超えて共通である。だが極東アジアの島国に住む日本人には想像を絶するのがこの「民族紛争/宗教戦争」という奴だ。
ブコバルは、クロアチア独立戦争の最大の激戦地の一つだそうだが、内紛勃発以前はクロアチア人とセルビア人が同じ町内に肩を並べて生活していた。見た目になんの違いもないし、言語さえ一緒であるという。なのにひと度銃を取ると、その彼らが互いに攻撃し合い、憎しみ合い、殺し合い、果ては(いやな言葉だが)民族浄化・・・。あともう一世代か二世代、このまま過ごしていたら、お互いユーゴスラビア人として同化してしまい、こんないがみ合いは起こらなかったのではないか?そう考えること自体が甘々なのだろうか。
ロケは実際に瓦礫の街と化したブコバルで敢行されたそうだ。焦土化した祖国を映像に記録する映画人の胸に去来したものは何だろう・・・。
平和・ニッポンに住んでて出来ることはたかが知れてるが、せめて離れた家族に連絡を取るとしよう。「元気でやってるよ」
80/100(01/08/08記)
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