黛監督により創り出された『ＲＡＭＰＯ』のオリジナル版。制作側からストップがかかり、70％も作り直された奥山版の方が公開されたのだが、折角作ったのだから、と言うことでビデオ化されたらしい。

　テレビで奥山版を観て、なんだかしっくり来なかったのでビデオで借りて観たのだが、こっちもやっぱりしっくりしなかった…単に元の脚本が悪かっただけなんじゃないか？設定は面白かったんだけどねえ。

　虚構の世界である明智小五郎と静子の方に強調点が置かれていた奥山版と較べ、現実世界の乱歩と静子の交流の方にやや重点が置かれているのが黛版で、こっちの方がやや分かりやすい部分もあるんだけど…

　結局どちらも画面の美しさに物語が付いていかなかった。元が魅力的な設定だけに、作り方が失敗すると本当に勿体ない気分になる。