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[コメント] マイライフ・アズ・ア・ドッグ(1985/スウェーデン)

くよくよせず。まわりを見ようよ。きっとそこは暖かいよ。
スパルタのキツネ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







<<少年の気持ち>>

一人になりたい時もある? 人を恋しく思う時もあるって?

そんなの僕にはよく判んないよ。

何も知らないライカを宇宙に放り出したのも、僕の愛犬シッカンを殺したのも人なんだよ。お母さんだって・・・。

人って勝手過ぎるよ!

僕の身にもなってよ。犬の身にもなってよ。

よぉーし・・・

「ヴァンヴァン。ヴァンヴァン。」

「ヴァンヴァン。ヴァンヴァン。」

<ラスト>

でも、やっぱり人っていいなー。

---

<<コメント>>

ラストで、肥溜めに軟着陸する宇宙船も良いけれど、凍った川を泳ぐフランソワをみんなで救い上げるエピソードが最も好きです。普通なら身震いしてもよさそうなんだけど、心が暖まってしまうから不思議。「おいおい何なんだよー、お前らはー。放っといてくれよーい。」てな感じのフランソワも良いです。凍てつく川の映像から、工場で赤々と照るビードロに映像を移すのも実にうまい。このように人の冷淡さの中から、ささやかな暖かさを感じさせてくれるのが、ラッセ・ハルストルム監督なんですよね。『サイダーハウス・ルール』『ギルバート・グレイプ』と並んで好きな作品です。

ところで、イングマルが人前で牛乳をうまく飲めないのは何故なんでしょう。 自分を犬だと思っている、或いは手が勝手に反応してしまうということでしょうか? 想像するに、小さい頃から犬と一緒にミルクを飲んでいて、お母さんに止められても直らないぐらいに習慣化してしまっていたのではないでしょうか? もっと言うと、習慣の抑圧を機に、少年は自分のなかに犬を見出し、飼い主たる母に疎まれる孤独を紛らわせるために、母と2人だけで楽しむ姿と孤独なライチ犬を空想するようになったのではないでしょうか? ラスト前の犬化は、道化ではなく抑えていたものが出てしまった、というような気もします。

(評価:★4)

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