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[コメント] ロング・グッドバイ(1973/米)

ギムレット飲まんのかい!
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







製作50周年記念の「ロバート・アルトマン傑作選」なる上映企画で初鑑賞。本作どころか、恥ずかしながら、「ハリウッドの異端児」ロバート・アルトマン作品自体を初鑑賞。

なぜかご縁がありませんで。80年代の不調後に復活した『ザ・プレイヤー』『ショート・カッツ』『プレタポルテ』辺りが私がリアルタイムで観るべきタイミングだったんですけど、いやいや、やっぱり『M★A★S★H』観ないと始まらんでしょ?とか思って、ご縁を逃していたんです。結果、未だ『M★A★S★H』観てないし(笑)

公式サイトによれば「原作からかけ離れた探偵像と結末の大改変に公開当時は非難轟々だった」そうで、賛否両論ではなく非難轟々だったんだ(笑)

そもそも原作からかけ離れたフィリップ・マーロウ像かなあ?チャンドラーはケーリー・グラントがイメージに近いと言ってたらしいけど、世間的には『三つ数えろ』ハンフリー・ボガートだったんでしょう。ボギー、あんたの時代は良かった。でも、数年前に出た村上春樹訳だと、なんだかイメージに合ってる気がするんです。70年代に置き換えた影響もありますけどね。実際、村上春樹はこの原作に多大な影響を受けていて、「羊をめぐる冒険」は本歌取りですものね。ラストなんかほとんど一緒。そういや「ねじまき鳥クロニクル」はこの映画同様、猫の失踪で話が始まるな。

ソダーバーグやP.T.A.がこの映画を好きなんだそうですよ。ソダーバーグは『オーシャンズ』シリーズで本作のフィリップ・マーロウ=エリオット・グールドを起用しています(気付かなかったけど)。『インヒアレント・ヴァイス』は本作にとても影響を受けているように思います。あ、そうそう。エリオット・グールドの最初の奥さんはバーブラ・ストライサンドなんだって。P.T.A.が『リコリス・ピザ』でネタにしてたバーブラ・ストライサンド。

そんなこんなで、村上春樹やらソダーバーグやらP.T.A.やら、私好みの人たちが好きなこの映画(あるいは原作)が嫌いなはずがありません。ソダーバーグやP.T.A.がこの映画を好きだと知ったのは本作鑑賞後ですが、「あー、わかる。好きそう」って思ったもん。あと私は、藤田まこと「はぐれ刑事純情派」的な面白さもあったんです。これはソダーバーグやP.T.A.には分からんだろうけど。

ロバート・アルトマンは「生命の尊さなど一顧だにされず、友情や義理のたぐいが無意味なものとなった自分本位の世の中でさまよう、道義をわきまえた寛大な男」の物語と言っているそうで、私はこれを読んだ時に、この映画は「ハリウッドの異端児」ロバート・アルトマン自身の物語なのではないかと思ったんです。アルトマン作品をこれしか観てないから、何も語れませんけどね。

余談というか自分の備忘録

端役のチンピラ役(無駄にムキムキマッチョ男)は無名時代のシュワちゃん。

(2023.05.28 角川有楽シネマにて鑑賞)

(評価:★4)

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