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[コメント] 教祖誕生(1993/日)

戦後の邦画に新興宗教ネタは『浮雲』ほかたくさんあるが、リアルタイムでオウムと並行関係にあったのだから立派。着地が決まっていれば『生きない』と並ぶたけし傍流の秀作になっただろうに残念。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







使い捨てられる下條正巳が哀愁。たけしに水の上を歩かされるに違いないと待っていたのだが、さすがになかった。たけしが教祖に競馬予想させるギャグがいい。暇だからついて行く暇学生の萩原聖人もいい。

お客が神を見たのが大切なんだから、インチキやろうが関係ないとたけしは云う。『浮雲』ほかたくさんある戦後の新興宗教ネタ映画の、これは基本的な認識なんだろう。車椅子から立ち上がり続けるお婆さん南美江は『Wの悲劇』で三田佳子に「若い頃、女使ったでしょ」と云われるベテラン俳優。再び歩けなくなって、断食修行した萩原の手かざしで歩けてしまう件がよく撮れている。本作の撮影はとてもいい。監督はたぶん踏ん切りよく川上皓市に丸投げしたのだろう。

終盤は弱い。真面目な玉置浩二の件はもうひとつ未整理。ここに何かあれば佳作だっただろう。最後に教祖になっちゃうイロニーも弱かった。バスツアーの田舎の風景が侘しく撮れており、立て看が密集する教団の入口が怪しい。多恋人ってソープは行ったことある。エンディングテーマの「神様お願い」が洒落ている。

(評価:★3)

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