コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] スウィート・ヒアアフター(1997/カナダ)

アルメニア人監督エゴヤンの拭い切れない大量死の記憶と、それを踏み越える開き直りの幸福論=The Sweet Hereafter
町田

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ラッセル・バンクスの物語自体はとても良く出来ているし、スコープサイズの特性を活かし切った画面造型・繋ぎにも感心させられたが、神経質で変わり映えのしない演技演出(登場人物が皆、同じような顔をして同じように悩んでる)と、イアン・ホルム父娘の関係性の弱さ(長距離電話と飛行機内の回想だけでは如何にも説得力不足で、ホントの親子と思えない)で、最期で得られるはずの開放感やら爽快感(最期の嘘も嘘だかホントだか判りづらい)が総てパー。

カンヌでパルムドールということだが、それは納得がいく。要は、訴訟国家アメリカを皮肉った社会性が好評を得たということだろう。もしくは、訴訟をしても死者が蘇るわけではない、それより今、眼前で弱り細って行く者に手を差し伸べよ、という真っ当なヒューマニズムが、審査員の心を打ったのだろう。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (1 人)けにろん[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。