[コメント] レポマン(1984/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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でも、まさかUFOとはね…。
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久々に再見。したので追記。
中古ビデオ屋で叩き売りされてたので思わず買ってしまったのだが(初見は三鷹オスカーという名画座でのアレックス・コックス三本立て、まだ10代だった)、あらためて見ると、ものすごくちゃんとした映画で逆に面食らってしまった。
かなりパンクなネタでぐんぐん引っ張ってはいるが、編集や音楽がやたらよい。無駄なシーンがなくて(全編が無駄という説もあるかもだけど)、説明過剰という言葉とは無縁。ゆえにわかりにくいような気もするが、話自体はいたってシンプルなのでちゃんと流れには乗っていける。
うだうだした禅問答のようなものもなく閉じこもったセカイに走ったりもしないし、あのラブシーンの(笑っちゃうぐらい爽快な)省略法だけでも、ぜひ(リローデッドではずいぶんイライラさせられた)ウォシャウスキー兄弟には学んでほしいとさえ思う。そんなのがなくても、ちゃんと世界観などを伝えることはできるんだよね、と。
最後の強盗シーンのリズミカルな処理や粋な会話はどうだろう。まだタランティーノは登場していなかったのだよなぁと思うと、やたらカッコイイぜ!な音楽も含め(これはタランティーノ登場以降の価値観でいくと大ベストセラーになりそうなサントラだと思うなぁ、)そのオリジナルっぷりに更に胸がざわざわしてくる。
バイクの兄ちゃんたちが走っているシーンでさりげなく流れるボーントゥービーワイルドのように、初見時にはわからなかった小ネタなども幾つもある。アレックス・コックスと言えばかなりの映画オタクとしても知られる監督なので、私にはわからないだけで他にもたくさんそういった要素が盛り込まれているのだろう。
配役だって素晴らしい。ハリー・ディーン、『パリ・テキサス』よりずっといいじゃん!エミリオ兄!やっぱり君は最高だよ!そんな君を(ミッションインポッシブルで)やすやすと潰させたトムを、私は心底うらめしくも思うよ!
ともあれ、ああ、アレックス・コックスは最初から本気だったんだ。とにかく映画が好きで好きでしょうがなくて(子どもの頃から映画監督を夢見ていたらしい)、どうすれば人をおもしろがらせるかを考え抜いたうえで、そのうえで自分も楽しんでコレを作ったんだ、というのがとてもよくわかる。
正直、そんな映画をずいぶん軽く受けとめていた自分が今は猛烈に恥ずかしいとさえ思う。いや、たぶんアレックス・コックス的にはそれでも全然オッケーなんだろうけど。
それでもやはり私は言いたい。こんなに魅力的な藤子的SF(すこし不思議)感ただよう80年代の金字塔アクション青春映画を撮ったアレックス・コックスは天才だ!今まで(なんとなく)なめててごめん!
追記:
奧から引っ張り出してきた当時のチラシによると、アレックス・コックスはデビュー前、本当にレポマンをしていたことがあるらしい。
追記その2: そのチラシにあったコピーがちょっとネタバレで笑ったので、写しておこうと思う。
毎日が退屈な君たちに、セックスとドラッグとロックンロールとUFOを!! <正気の奴らには、わかるまい。>
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