[コメント] ケラーマン(1971/米)
これがなんで日本未公開だったんでしょう?無茶苦茶好みなんですが。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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一言で言ってしまえばこれはメタ作品で、孤独のあまり妄想に取り憑かれてしまった人間が、何者かの陰に怯えて徐々に狂気に落ち込んでいくという手法で作られている。これは小説ではよく使われる手法で、先日映画化された『シークレット・ウィンドウ』(2004)の著者スティーヴン=キングもこういう作品を得意としている。
一応ケラーマンとは誰?と言う謎が命題になっているが、実はそれ自体はあまり意味を持たず、むしろ主人公ジョージの精神が徐々に均衡を崩していくのを見るべき作品。現実と虚構、現在と過去が入り交じり、不思議な精神世界が展開される。本作の場合、敢えて虚構の世界の描写は抑えめにして、人物描写を中心に持ってきているのが特徴だろう…ここでやりすぎると『裸のランチ』(1991)になってしまう。
私はこういうメタな作品が大好きだし、特にホフマンが目を開けたまま夢の世界を彷徨いだしていく辺りの描写はなかなか痛々しくて良いぞ…それが飛行機に乗っている時だから、観てるこっちも緊張しっぱなしになるけど(笑)
すっかり大俳優として有名になったホフマンだが、実は元々は俳優よりはジャズピアニストになりたかったそうで、俳優業が忙しくなればなるほどその夢から離れていくことを嘆いていたそうだ。そう言う意味では、この役はぴったりの役で、それこそメタフィクションそのものとも言える。
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