[コメント] 太陽の王子 ホルスの大冒険(1968/日)
導入部から中盤までの高揚感が終盤のクライマックスまで持続しないのが惜しい。簡単に云うと、ラストの氷のマンモスとの闘いも、悪魔グルンワルドとの最終対決シーンもあっけな過ぎる。スペクタクル性が弱いのだ。
全般にアクションの見せ場は簡潔だが、中盤のお化けカマスとの闘いが一番よく描けていたように思う。狭い水路に突っ込む動きがいい。ただし、アクションシーン以外の日常のシーンや、村の習俗を見せる部分が、とても良く出来ている映画だ、ということはできるだろう。例えばお化けカマス退治の後、大量の魚が川をのぼって来る場面から、続く村の祭りのシーンなんかは、仰角俯瞰のとり混ぜと、パンニングの見せ方で、いい画面になっている。あるいは、花嫁衣裳の披露から婚礼のお祭りのダンスの場面も同様に美しい。
あと、ヒルダ一人のカット、ホルスとの切り返しのリバースショット等で顕著だが、ほゞ正面バストショットでばっちり決まっており、いちいちハッとさせられる。彼女は歩いているシーンも勿論あるが、ブランコや木の枝に座っているカット、あるいは、起立しているが佇んでいるカットが多く、ホルスの動きのあるキャラと上手く対称になっているように思う。
後のジブリ作品へも綿々と受け継がれる、遺伝子のようなモチーフは多々あると思うが、ホルスが何度も崖上などから落下するアクションと、水辺、特に、ヒルダが登場するのは、水没した村である、ということは重要だと思う。以降の作品での繰り返しの度合いにおいて。
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