[コメント] ボーイ・ミーツ・ガール(1983/仏)
レオス・カラックスの初監督作は、やっぱりメッチャ初々しい、細部の可愛らしさに溢れた作品だ。面白い!例えば、全編に沢山出て来る、破砕(粉々になる、破れる、穴が空く等)のモチーフ。
破砕のモチーフは、まず、冒頭の走る自動車のフロントガラスには丸い穴が空いており、スキーの板とストックが出ている(これ面白い!)。アレックス−ドニ・ラヴァンは、アンプルの経口薬を飲み、地面に投げつけて割る。レコードは服の裏地の中に押し込まれるが、裏地が破れてしまう。パーティシーンで、アレックスとミレーユ−ミレーユ・ペリエが接触するのは、お互いの手に持ったグラスが触れて、床に落ちて割れるタイミングからだ。パーティ主催者のヘレン−キャロル・ブルックスが大事にしていると云うティーカップは、縁が欠けている。また、このカップも床に落として割ってしまう(このカップがアレックスに手渡された時から、いつ割れるかと思いながら見てしまった)。終盤、アレックスがミレーユに電話する場面での公衆電話の窓ガラスは、冒頭の自動車と同じような、丸い穴が空いている。そして、手に持ったハサミは突き刺さるのだ。
あるいは、アレックスが友人をいきなり殴りつけ、首を絞めるシーンや、ミレーユのタップダンス、レコード店から地下鉄への逃走だとか、こういった運動の描写もキレキレだし、ラジオの大きな音や、ピンボール、バスタブからの水の音などのノイズの使い方も面白い。他にも上に書いたパーティシーンでの静止画のような招待客たち。シンクの上に金魚?が泳ぐ水槽のあるキッチン。そして、ミレーユの部屋の大きな窓。ラスト、カメラは向かいのアパートの窓に佇む男女を映し、ティルトして星空、さらに時間を戻して、ミレーユを抱きしめるアレックスにティルトダウンする、このカメラワークの茶目っ気もまた実に可愛い。
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