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[コメント] シャブ極道(1996/日)

麻薬への肯定的な評価は中島らもなど活躍した時代の産物なのだろう。この主題にもう少し穿ちがほしかったが漫画でしかなく、破天荒な役所広司の滑稽譚に留まる。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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ヤクザもの役所広司はクスリが好きで、「人間はシャブで幸せになれるんや」「100年後に俺は教科書に載っている」と豪語。体に悪いからと酒煙草はせず、西瓜やしゃぶしゃぶにクスリかけて喰らい、組を継いでからは「今日からわいらはクスリ屋や」と麻薬販売専門になって、暴対法施行でビビる組のものを嗤い、ローション開発などして娼婦で試したりしている。最後は体内でシャブの成分つくれるようになった、「神とひとつなんじゃ」とか絶叫している。

監獄の禁断症状で当人がうじ虫や人の幻覚見る件があるが、否定面はこれだけで、売った相手がどう使ってどう幸せになった等の描写は見事に全くない。肯定でも否定でもいいから、このクスリの件をもっともっと拡大してほしかった。本作はただ、役所の脳元気な造形の説明にクスリを使っているだけで、それ以上のものがない。いかにも不満。

役所は気に入った早乙女愛をヤクザの若頭藤田傳から強奪。しかし藤田は簡単にこれを許し、出世した後も役所を贔屓にする、という展開もまた半端に終わる。冒頭の博打のカネ請求して家に灯油まいて火をつけるような描写は、相手が平民だから観ていて愉快なものではない。昭和48年から始まる物語だが時系列に大した意味はなかった。

(評価:★3)

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