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[コメント] ナヌムの家(1995/韓国)

元従軍慰安婦の共同生活の記録。その活動は寂し気に描かれ、こんなに地味なものなのだったのかと虚をつかれる想いがする。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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ナヌムの家には六十、七十代の元慰安婦六名が暮らす。とても裕福な暮らしとは云えないような状態だ。花札する人がおり、出張絵画教室で施設の画を記録する人がいる。死んでしまいたいと泣く人がおり、暖房が入らないと愚痴る人がいる。彼女らは達観しているように見える。病気になったらお終いだから煙草吸う、思い通りに死ねたら苦労しないと笑い合う。悪戯な笑いに、老人らしいブラックユーモアも感じられるのだが。

デモでは慰労金はいらない、賠償金を払えとコールされ、「慰労金は解決といえるか」という討論会が開かれている。「日本人がまた悪いことをしないとは限らない。私たちには明らかにしておく責任がある」と語られる。

日本大使館前の水曜デモは、冒頭は百回記念で大勢の人が集まっているが、中盤の通常のデモは寂しいものだ。少人数で道路の反対側でデモして、間をクルマがビュンビュン走り抜ける。昼飯喰っている国会議員に陳情しているが議員は特段の反応も示さない。元慰安婦たちは国会には行きたくないと語る。盛り上がらない活動が淡々と綴られるのが印象深い。支援者たちによる小さな忘年会が開かれ、傷だらけの腹がラストに見せられる。

並行して、挺対協が連絡を取った武漢在住の韓国人元慰安婦ハ・グンジャが記録される。17歳で連れてこられた、小さいと云われて性器を切られた、一日5、6人、多いときは20人の相手をさせられ、痛くて小便できなかった、どんなに泣いても無駄だった。血の凍るような話だ。性病で卵巣取っていたが、前妻の子供がいて構わなかった中国人と結婚、日本の海軍基地跡に住む。「こんな処にいて帰るのは恥ずかしい」が第一声だったが、歓待されて韓国に行きたいと語っている。

(評価:★3)

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