[コメント] 越境者(1950/伊)
村や町の描写はジブリ好みの美しさで、並置された群像のシュール寄りな描写はオーソン・ウェルズが想起させられる。カルロ・ルスティケッリの抜群に歌う劇伴もキャリアの最初期からさっそく素晴らしい。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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炭鉱が潰れてシチリアからフランスへ、イタリア横断の不法移民話。山田洋次の『家族』など思い出され、たぶん参考にされているだろう。本邦と同じくイタリアにも炭鉱夫のジプシーがいたのだ。
物語は途中で逃げ出す手配師とか、貧乏で儲ける連中は何処にでもいるのだと教えてくれる。冒頭の、潰れる炭鉱でひとり演説している組合員が印象的で、中途でもストの主題が繰り返される。農業にゼネストがあるのがお国柄なんだろう。移民臨時雇いをスト破りと喧嘩が始まっている。
吹雪のランス国境の描写だけは、本当はこんなもんじゃない、もっと酷いんだろうとは思ってしまう。フランス到着、「神の土地に国境はない」とナレーションが入り国境警備隊が子供みて不法移民を見逃すラストは突然にファンタジーになる。これはネオリアリスモの思想ではないように見えるが、ジャンル分けなどどうでもいいレッテルではある。これ以上、彼等をイジメてほしくないと思わざるを得ないのだった。
イタリア映画名作らしく、ミケリーナと呼ばれる娘がとても可愛い。繰り返されるしゃれこうべの歌のメロディが陽気なのが記憶に残る。トリノ辺りでの(件のストの際の)農業の、白い牛の角が巨大なのが驚き。あれは水牛なんだろうか。シチリア人はポレンタ食いだと云われる。爆走する特急もイタリアらしい。ローマに着いた老人が墓参りしたいと云い出すのがありがちで面白かった。
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