[コメント] 女王蜂と大学の竜(1960/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
MPがまだいる時代設定。「占領下の混乱期、日本在住の第三国人たちは戦勝国の名のもとに、露天商地区の不法占拠をたくらみ、横暴の限りをつくしていた」。トラックの荷台で棒振り上げて大挙して桜組に突撃、「マーケット半分もらうね」、三原葉子が諸肌脱いで「この組は戦争に負けちゃいないよ」みたいな新東宝末期。外国人連盟対ヤクザみたいな話は東映ヤクザ映画でも観た記憶があるが、こういうのは実例があるのだろうか、それとも純粋に右翼的な強迫観念だろうか。いや実例は調べれば出てくるのだが、出所がことごとく週刊実話みたいなソースで信憑性がまるでないのだ(彼等は占領者が白旗上げたのに反乱を起こさなかった。理性的で尊敬に値する人たちだと思う)。
アラカンの親分が告白するのは「ここで負けたら日本中の露天商が駄目になる」という零細商人代表意識。彼の背にする床の間に、下手糞な字の「神農皇帝」なる掛軸がある。「古代中国の伝承に登場する三皇五帝の一人。人々に医療と農耕の術を教えたという」「日本で神農は香具師・てき屋業界では守護神・まもり本尊として崇敬されている。これは神農の時代に物々交換などの交易をする市場がはじめられたこと、また神農の子孫であるとされる融通王が日本ではじめての露天商であるという伝説などが理由であるとされてきた。儀式では祭壇中央に掛け軸が祀られるほか、博徒の「任侠道」に相当するモラルを「神農道」と称している」(Wiki)。こういう右翼的な組織を映画は記録するのだろうか。
特攻崩れの吉田輝雄、何で大学なのか面白くない冗談の説明があったが、太陽族の影響なんだろうか。アラカンは彼に学問をしろと諭す。吉田は喧嘩がとても強そうに見えなくてショボイ。ベストショットは吉田が運転しているポンポン船。別に撮れている訳ではないが被写体自体が面白い。あとはスケバンの対決とか、土橋組社長の近藤敏明が三遍回ってワンと云う件とか。神輿に乗って三原葉子と対決するきっとその筋では有名だったのだろうパールユキの登場とか。最後はヤクザ連合対外国人連盟プラス土橋組。工場裏で拳銃使う派手な乱闘のあと、原聖二の李さんがアラカンに悪かったと頭を下げてハッピーエンド。「神農皇帝」は勝利したのであった。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (0 人) | 投票はまだありません |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。