[コメント] 裸の島(1960/日)
後半の構図のフォトジェニックさは時に神懸かったものがある。櫓をこぐ舟が右から左へ、スコープ画面を横切っていくカット。あるいは、斜面の画面。左上から右下への斜面の定着。子供が斜面へ出た際の、背景の雲の形も素晴らしい。
主人公(殿山泰司と乙羽信子)の家族が一切喋らないのは、唖者の家族、にも見えて来る。というのは嫌味であって、映画的な話でもないので恐縮だが、無声映画志向とは全く異なる、唖者ゲームを課したかのような演出ルールは、見ていて不自由というか、硬直化した精神に見えて仕方がなかった。ついでに云えば、後半登場する医者も、全然喋らない。子供の学校の同級生と先生も登場するが、彼らも無言劇だ(子供達が墓穴に花を放り込む所作が投げやり過ぎて、サイレント映画的だが)。そんな中で、坊主の読経は、明らかに唇が動いているのに音楽で声を消す、という処置。これもとても不自然なのだ。
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