他にもフテブテしさがアッパレな杉村春子といい、脇の憎まれ役のキャラに至るまで何とも魅力的な個性を発揮している。背景の貧困が至るところで見え隠れするので後味に一抹の侘しさが残るのだが、必要以上に重くなるのをキャラの個性で上手い具合にカバーしている。

かなりのエピソードを詰め込んでいるにも関わらず、とても器用に処理している。やや食い足りないエピソードもあったとはいえ、ワケありの結婚式で始まり、ワケありの結婚式で締めるトコロや、手紙の代わりに紅葉したもみじをさり気なく入れるところなど、至るところでセンスが光っている。際立った個性がない代わりに、手堅い作りが終始心地よい。まさに職人芸といったトコロ。

(2002/8/13)