[コメント] 野菊の如き君なりき(1955/日)
改めて考えてみると、この時代にメタ作品を作ってるんですね。木下監督は凄い監督だと再認識。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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伊藤左千夫による小説「野菊の墓」の初映画化作品。木下監督によるこの作風では、話の中心が若い頃の政夫と民子の物語ではなく、あくまで現在の老人の政夫にとっての回想によるものが強調されていることが特徴といえる。
それを感じさせるのは若い頃のシーンには円形のぼかしを入れ、そのため幻想的な雰囲気を作り出している。過去は思い出の中で美しく、それ故神聖なもの。下手に過去をリアルにする事無く、想い出としてのみ存在すれば、それでいいのだから。オリジナルの小説でも、その部分が強調されていたし。
ある意味本作はメタ作品として語られるべきものかも知れない。斬新な映画として記憶される作品である。
ところでやく30年後にリメイクされた『野菊の墓』(1981)はこの辺の演出を全くふまえることなく、単なる駄作となっていたことは記しておこう。
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