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[コメント] 宮本武蔵(1944/日)

溝口健二版『宮本武蔵』は吉川英治原作ではなく菊池寛原作。大きな違いは本作ではお通が登場しない。代わりに田中絹代が武蔵の弟子でありヒロインとして登場し健気な魅力を放つ。
ゑぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 物語は一乗寺の決闘から巌流島まで描かれるが、一乗寺の決闘後、田中絹代ら姉弟への訓練が描かれ、弟が小次郎に殺害された後、一年ジャンプしていきなり小倉の場面となる。河原崎長十郎の武蔵、中村翫右衛門の小次郎ともに登場からとても立派な兵法者として扱われている。

 何より驚いたのは一乗寺の決闘も途中で暗転して最後まで見せないし、巌流島での決闘もあっという間に終わらせてしまう溝口演出の潔さだ。もとよりこのような殺陣のアクション・シーンを演出する気はなかったのだろう。また、本作でも殆どパンフォーカスの演出と云って良い縦構図のカットが随所にある。田中絹代の弟が殺害されるカットも手前にのたうつ弟を配置し後方に田中絹代と翫右衛門達を写し込む。思わず『雨月物語』で田中絹代が惨殺される場面のシーケンス・ショットを想起してしまった。

(評価:★4)

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