[コメント] エロティックな関係(1992/日)
『エロテックな関係』からコメディとエロを除いてアイドルPVで粉飾したリメイク。貧乏な若松映画から隔世の感があり、こんなのは誰が監督でも同じなんだろう。汚れたパリを撮ろうとしないお仕事モードはなぜか『寅次郎心の旅路』(89)と共通するものがある。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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内田裕也が篠山紀信と呼ばれるのは、宮沢りえが脱いだ例の写真集との関係なんだろう。本作も当然エロなんだろうと思いきや、宮沢はただの元気一杯な子供で、彼女の出ている処はアイドルPV集に過ぎない。そして、それならば、彼女が出ずっぱりのホンにすればいいのに、本作の役処は中途半端。ビートたけしは更に半端で、内田裕也ばばかりが出ずっぱりだ。裕也の製作・脚本映画は『十階のモスキート』(83)、『コミック雑誌』(85)と本作で、年度順にどんどん詰まらなくなっていった。
細部には長谷部作『エロテックな関係』のパロディが挟まれている。内田裕也が二度駐禁取られた件を、今回の二度目の駐禁は裕也ではなくて調査対象ジェニファー・ガランのクルマに代わる等。ニンマリさせられる件もあるが、しれ以上のものは特になく、見処がそれでは淋しい。後半は厭になった。
マルロー「春の自殺者」の盗作と冒頭フランス語で解説して「ECの敵日本」と語る女性はエディット・クレッソン首相のパロディだが、若松なら、同時にバブリーな日本も皮肉っているだろう。若松映画ならそのニュアンスを本編でも見せてほしかった。ひょっとして、自分の方法論に自身なくしていたんじゃないのだろうか。
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