ラストシーンを見るまで、これが溝口作品だという事をすっかり忘れていた私。それだけなんか全編通して軽い。というか胡散臭さが炸裂している。京マチ子と森雅之のコンビは大好きだし、今回の夫婦役も良かったと思います。でも今回の京マチ子はなんだかいまいちハマりきっていなかった印象を受けます。どうせなら史実に基づいた悪女を演じて欲しかったと思うし、その方が京マチ子という人も活きたような気がします。加えて森雅之ももっと活きたと思う。

ちなみにもう一つ言わせてもらえば、安禄山将軍の役をマイ☆ミフネが演じていれば…。そんな事をついつい考えながら鑑賞してしまいました。結構ハマりそうな感じ、しないですか？

そして、カラー作品という点でも私は今ひとつでした。この作品もモノクロであったらもっと見ている人のイマジネーションをかき立てたのではないかと。楊貴妃のメイクもあからさまにモノクロ用！といった風情で濃すぎる。

先にも書いたとおり、溝口作品だとようやく分かるラストは良かった。ただ、二人の笑いが若干怖かったです。シュール！尺は短め。これで大作よろしくの3時間超えとかだったら評価はもっと厳しくなったと思います。

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08.07.31　記