[コメント] モン・パリ(1973/仏)
しかし最も感心したのは、そのカッティングの美しさだ。多くのシーンで多分2台カメラのマルチ撮影が行われているのであろう(もしそうでなければ、なお凄いが)、寄り引きのカッティングのスムーズさに感嘆しながら見た。これは本作の一番の特徴と云ってもいいのではないだろうか。
そして、そんな技巧的な話ではなく、撮影現場の良い雰囲気がそのまゝ写し撮られているに違いないと思わせる演出の特徴についても書いておくべきだろう。なんと云っても、ドヌーヴの愛らしさ。序盤の体調を崩し始めた夫(事実婚のパートナー)−マルチェロ・マストロヤンニを思いやって泣く彼女はとてつもなく可愛いし、マストロヤンニが懐妊していると知ったドヌーヴが、最初に「裏切られた、悪党!」と怒る演出の何という大らかさ。同様に、医者がそれほど驚かず、医学的な説明(理屈)もまったく端折ってしまう展開も、マストロヤンニとドヌーヴの周囲(友人、顧客、息子など)や世の中も含めて、ほゞ懐疑的な反応がなく、ただ、人類史上の真の革命だと認識する、という見せ方にも、あゝこれはこういう映画なのだと納得させてしまう大らかさがある。
そしてスター歌手ミレーユ・マチューのゲスト出演と、ドヌーヴの掛かり付けの医者役(マストロヤンニの妊娠を診断する女医)で、まだまだ綺麗なミシュリーヌ・プレール(50歳頃)を見ることができたのも嬉しい。また、プレールほどの知名度は無いかも知れないが、マストロヤンニの前妻役で、ハリウッドでも活躍した(『バラの刺青』でオスカーノミニーの)マリサ・パバン(40歳頃)が見られたのも、古い映画ファンとしてはとっても嬉しい。
#マストロヤンニの職場−自動車教習所の前は映画館。『勇気ある追跡』の看板。
#マリサ・パバンの姉はピア・アンジェリ。2人は双子の姉妹(二卵性)。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (0 人) | 投票はまだありません |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。