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[コメント] 聖母観音大菩薩(1977/日)

オーシマ『儀式』系列の外連味たっぷりの観念劇。八百比丘尼と原発を重ねる奇矯な解釈が愉しく、よく判らない浅野温子ほか印象的だが、退屈な時間帯も多い。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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八百比丘尼の洞穴のある空印寺は福井県小浜市、海岸の対岸に再三捉えられる原発は隣町の大飯原発。運転開始は1979年だから、映画ではまだ建設中ということになる。所在する半島へ渡る青戸大橋も象徴的に映されている。若狭彦神社、若狭姫神社はお水送りで有名。野外レズなどはゲリラ撮影なんだろう。

人魚の肉喰らって龍神の祟りで死ねなくなった松田英子。この龍神の巨大エネルギーは原発と比類するものとして解釈されている。殿山泰司は全身ケロイドで死にかけている。「私の精を吸って」と松田は殿山とまぐわるが、逆に殿山の精気吸い取って殺してしまう。

蟹江敬三の訳の判らない強姦魔、大和の奴らは俺たちを北へ追い詰めたと云い募り、復讐に松田を犯して俺の子供を産めと云う。松田は蟹江をウタリと呼んでいるのは、蟹江がアイヌだと云うのだろう。原発破壊未遂の過激派の石橋蓮司は蟹江の現代版のようだ。松田はしかし石橋によっても破壊されず、石橋は自害してしまう。

他の少年とか出雲の狐憑きとか地元有力者の変態とかは上記三人に比べると常識的で弱い。痴漢されたとセックスして殺されるよく判らない浅野温子は、近年は神社周りの仕事をしているらしく巫女さん役は因縁だろう。ラストの殺されても死なない松田は原発代替、エネルギー革命の待望と見え頼もしかった。

(評価:★3)

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