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[コメント] トラフィック(1971/仏)

カッティングは殆ど完璧。コペンハーゲンのモーターショウ会場を中心に、矢張り、タチは完璧な世界の構築を目指していることがようく分かる。川の側の修理工場のシーンで描かれる朝靄の場面なんかも、もうこれしかない、という絶妙のロケーションだ。
ゑぎ

 また、本作は強烈に音をキャッチさせる映画でもある。勿論、渋滞時のクラクションなど、車からの音もあるが、それ以上に鳥の鳴き声が耳に付く。モーターショウの展示ブースで流れる録音テープの鳥の声。または、衝突事故のシーンのヒバリの声。この多数の車を巻き込む自動車事故のシーンは見所の一つ。車から降りた人達が、あちこちで首や腰を伸ばす所作をパントマイムで表現する。このおおらかさが素晴らしいのだが、こゝにオフでヒバリの鳴き声がかぶり、鳴き声も人々の動作も余計に目立つ効果が出ている。

 一番笑えたのは、広報の女性の飼い犬が、自動車のタイヤの下敷きになる場面。あと、アポロの月面着陸をテレビで見た修理工と運転手が影響されて、月面のようにスローで動く場面。映画における被写体の動きは緩慢であるほど強いのだ。

(評価:★4)

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