[コメント] 平成狸合戦ぽんぽこ(1994/日)
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こういう歴史絵巻物はかなり好き。ただ、映画の場合はこう言った歴史絵巻を作るのは結構難しく、通常ドラマを補完する形で用いられるものだが、流石アニメーションの可能性を模索し続けている高畑監督だけに、歴史の方をメインにして、それを裏付ける形でドラマ部分を作っているところが本作の最大特徴であり、その結果歴史を作ろうとするだけでなく、歴史に押しつぶされた狸たちの描写までしっかり描かれている。良いところだけでなく、その失敗から実際に起こったことも含めて描かれているのが大変興味深い作品だ。
ただし、この形式で作られた作品というのは、私の知る限りアニメでは本作だけ。
理由は簡単で、本作が失敗に終わったから。労力の割に報われることが少なく、評価もそこそこといったところ(私も劇場で観なかったし)画期的な作品というのは一方では当然失敗と言うことも多くあり得るわけで、幾多の失敗の上に今のアニメーションが存在する。そう考えると、本作は一種の踏み絵的作品だと言っても良いだろう。
確かに興味深い設定を用いて作られた作品には違いないが、この形式では避けようがない説明の部分にあまりにもウェイトがかかりすぎた。それが売りであると同時に、物語を著しく阻害してしまい、結果として大変バランスの悪い作品となってしまった。
設定の面白さをもう少し演出の方に回してくれたら、相当に面白くなった作品だと思うので、この作品が結局失敗に終わり、この流れが終わってしまったのが大変残念。これからこういうチャレンジャブルなアニメがこれからも登場してくれることを願わずにはいられない。
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