コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 機動警察パトレイバー2 the Movie(1993/日)

とにかく後藤隊長と竹中直人の平和論。設定が添え物でも、セリフで論理を語ろうとも、見る価値はある。凄みさえ感じる会話。
新人王赤星

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「平和・・平和・・この国の平和とは一体なんだ?無数の戦争によって構成され支えられてきた血まみれの経済的繁栄。正当な対価をよその国の戦争で支払い、その事から目をそらし続ける不正義の平和」

「不正義の平和だろうと、正義の戦争よりよほどましさ」

「正義の戦争を嫌うのはようくわかるよ。かつてそれを口にした連中にろくな奴はいなかったし、その口車に乗ってひどい目にあった人間のリストで歴史の図書館は一杯だ。だがあんたは知ってるはずだ。正義の戦争と不正義の平和の差はそう明瞭なものじゃない。平和という言葉がうそつきたちの正義になってから俺たちは俺たちの平和を信じる事が出来ずにいるんだ。戦争が平和を生むように、平和もまた戦争を生む。単に戦争でないというだけの消極的で空疎な平和は、いずれ実体としての戦争によって埋め合わされる。その成果だけはしっかり受け取っていながら、モニターの向こうに戦争を押し込める。ここが戦線の単なる後方に過ぎないことを忘れ、いや、忘れた振りをし続ける」

後藤隊長も竹中直人も社会の本質をついていて、情緒的な思想の入り込む余地はない。根底にある平和への真摯な渇望が、説得力をもって真の平和への意識を促す。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。