[コメント] ロボット・ドリームズ(2023/スペイン=仏)
セリフが一切無くても100分間観入ってしまう完成度の高さ。実写のサイレント映画に字幕や活弁が不可欠であることを考えると、やはりこの表現力はアニメーションならでは。
孤独を埋めてくれる存在のかけがえの無さ、その存在を得たことへの心からの喜び。多幸感が画面から溢れてくる。
そんな幸福な日々が思いがけず突然断ち切られ、主人公はロボットを救出しようと手を尽くす。が、次第に諦めとともに再び孤独が募り、雪だるまとボーリングで遊んだり(この件りは最高に楽しい)、友達探しのためにスキー(ソリ)ツアーに参加したり。このあたりではロボットのことを気にかける様子もあまり見られない。翌夏の海開きの初日には、ビーチに駆けつけて必死に探すのだが。
絶望を乗り越えるため、代わりを求めてしまう気持ちを抑えきれない姿に、諦めがよすぎると引っ掛かるものを感じるか、人の世の理(犬だけど)とエゴを誤魔化さずに直視していると評価するかは、観る者の受け取り方次第かもしれない。「別れは出会いの始まり」と言われるように、個人的にはラストにはポジティブなニュアンスを感じた。
全体に’80年代の大らかで楽観的な空気に包まれており、鑑賞後EW&Fの”September “が頭の中を巡り続けている。
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