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[コメント] 本心(2024/日)

発達したAIによるVFが物語の核ではあるが、「自由死」と言いたて自発的な死が認められ推奨もされているような状況や、リアルアバターに示される格差の拡大と社会の分断などのテーマも内包して、少し散漫になったような気がしないでもない。
シーチキン

描かれている問題や描かれ方は説得力があり、リアルでもある。そしてそのリアルさは、製作者たちの先見の明とではなく、既に現実に起きている問題を鋭くとらえていることに由来しているのではないだろうか。

AIにデータを学習させることで、現実に存在していた人間を復元できるか、出来るとしたら、それは本当に復元なのか、そういうことをあれこれと考えることは、それなりに面白いとは思うが、スコラ的でもある。

この点ではやや哲学的風でもあるが、それ以上に薄ら寒くなるような社会の状況を感じさせる、怖い映画でもある。

後、役者はいずれも好演。特に田中裕子は印象的で記憶にいつまでも残りそう。池松壮亮も安定した上手さだし、妻夫木聡はいい人そうに見えて実はそれほどでもない人を上手く演じていた。三吉彩花はその美しさが何だか人工的に見えて、撮影のうまさもあるのだろうが、生身の人間なのに時折、VFのように見えたのが凄かった。

(評価:★4)

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