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[コメント] クワイエット・プレイス:DAY 1(2024/米)

本作もニーナ・シモンの「フィーリング・グッド」。やっぱり、これも「完璧な日」を表している。ルピタ・ニョンゴと猫。ホスピスでのミーティングシーンから始まる。
ゑぎ

 未完成の詩を読むニョンゴ。シット連発。癌はシット。介護士はルーベン−アレックス・ウルフ。バスでシティ(マンハッタン)へ出て観劇する。シティでピザが食べられるなら。劇はマリオネット。人形が風船を膨らませ、大きく膨らむと破裂する。勿論、音に敏感な映画だ。こゝいいと思う。格調高い。明らかに前2作と画面の調子が違う。

 異変が起こった、ピザは次にして帰ろう。バスに乗せられる。映画におけるバスは、常に日常を異化する装置だ。空に無数の隕石みたいな軌跡。こゝからの、粉塵で視界が阻まれた中でのパニックシーンは凄い演出だ。画面外が機能する。ニョンゴは気を失う。目を覚ますと、ジャイモン・フンスーがリーダーのような避難場所にいる。避難者は皆、音を立てない。音を出してはいけないことが既に判明し、周知され浸透しているのだ(その過程は上手く省略される)。介護士ルーベンと猫にも再会。猫はラストまでずっとそばにいるが、ほとんど音を立てないお利口な猫。私はもっとガチャガチャしても良かったと思う。皆で橋が爆撃されるのを屋上から見るシーンもいい。かくして、マンハッタンは孤立する。しかし、実を云うと、いいと思ったのはこの辺りまでだ。

 主人公ニョンゴが主に行動を共にするのは、介護士ルーベン、続いて公園の噴水で出会う子供2人(兄妹か)、そして英国人エリック−ジョセフ・クインだが、私は子供たちともっと一緒だった方が(それは子供の死活のスリルをもっと作る方が)、良かったと思う。厭世的な癌患者と怖がりの英国人の短い期間の交流、さらに云えば、2人の人間的な成長が、作り手の目当て(描きたかったこと)だったのかも知れないけれど、中盤以降はスリリングな場面が弱いと感じた。エリックがカードマジックを披露する場面なども美しいシーンだが(序盤のマリオネットの場面の演出基調を思い出す)、活劇としては、停滞するマイナス面も大きいと思った。

(評価:★3)

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